2015年4月30日木曜日

ICCF-19のハイライトの一つはICCF-20開催地争いだった

Cold Fusion Now!にICCF-19を振り返る秀逸な短文が掲載されています。


その中でも一番気になったのは最後の文章でした。McKubre博士によると、ICCF-19のハイライトの一つはICCF-20だったと。ICCFは米国・欧州・アジア(オセアニア)の3極で持ち回り開催されており、次回はアジア(オセアニア)の順番でした。ここに、何と、中国、日本、インド、ロシアの4カ国が立候補したと。ICCFの委員会は嬉しい悲鳴を上げたようで、政治的な判断も入って、主開催を日本の東北大学とし、サテライト開催を中国の厦門大学(Xiamen University)とする事になったそうです。こんな事で苦労するなんて、ICCFの歴史始まって以来のことではないかと思います。
常温核融合を巡る潮目は完全に変わったと見て良いでしょう。
What’s next? 
The results of the conference remain to be seen, but participants are going home with a big to-do list. 
“From here it is a short step to victory,” says McKubre. “Resources are entering the field. If we can find some commonality of action to ensure that the sum is greater than the parts then we will all win. I am highly encouraged.” 
“One of the highlights of ICCF19 definitely was ICCF20. With the next continental rotation returning to Asia (and Oceania) it was surprising and unprecedented that four countries were seriously interested in hosting the next conference: China, Japan, India, Russia.” 
“The IAC was faced with the happy need to make the diplomatic decision to hold the primary conference at Tohoku University in Sendai, on the East Coast of Japan, with a satellite meeting follow on meeting at Xiamen University on the East Coast of China.”
以上

東北大学 凝縮系核反応共同研究部門設立を記念したシンポジウム開催

来る2015年5月13日(水)に、東北大学の電子光理学研究センターにて、凝縮系核反応共同研究部門の設立を記念したミニシンポジウムが開催されます。



詳細は以下のPDF文書に記されています。問い合わせ先以外の全文を引用させていただきます。
http://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/eventimg/event20150423_02.pdf

「凝縮系核反応共同研究部門」設置記念ミニシンポジウムのご案内 
このたび、東北大学電子光理学研究センターは、4 月 1 日付で、株式会社クリーンプラネットと連携し、安全かつ強靭な次世代型エネルギーの実現を目指し、「凝縮系核反応共同研究部門」を設置しました。凝縮系核反応とは、「常温核融合」に端を発し、25 年以上にわたり研究されてきた凝縮系における超低エネルギー核反応です。最近では、異常過剰熱発生の条件探索と再現性が高まり、また、多層薄膜の重水素透過による核変換現象が複数のグループにより報告される等、将来の実用化を視野にいれた基礎、応用研究が要請されています。本共同研究部門は、このような要請に応え、産学連携共同研究により、凝縮系核反応の学術的基盤を強化し、新しいクリーンエネルギーの開発研究を推進するものです。
 「凝縮系核反応共同研究部門」の設置を記念して、来る 5 月 13 日(水)の午後、電子光理学研究センターにて、下記のミニシンポジウム及び懇親会を企画しました。この機会に、凝縮系核反応研究の現状を知り、今後の方向に関して議論できれば幸いです。ご多忙中まことに恐縮ですが、皆様方のご出席を宜しくお願い申し上げます。 
 東北大学電子光理学研究センター
 センター長 濱 広幸
日時:平成 27 年 5 月 13 日(水)午後 3 時 20 分
場所:東北大学電子光理学研究センター(三神峯キャンパス) 
I. ミニシンポジウム:研究棟1階三神峯ホール、午後 3 時 20 分~5 時 20 分開会:電子光理学研究センター センター長 濱 広幸
挨拶:東北大学理事 産学連携担当 進藤秀夫
 (株)クリーンプラネット 代表取締役 吉野英樹 
講演: ----- 凝縮系核反応の現状と将来 -----
  • 常温核融合ミラクルへの挑戦 笠木治郎太(東北大学電子光センター, 名誉教授) 
  • Low Energy Nuclear Reaction: Robust Results, Promising Potential and Critical Challenges David Nagel (Research Professor, The George Washington University)
  • 共同研究部門の目指すもの 岩村康弘(東北大学電子光センター, 特任教授) 
II. 懇親会:研究棟 1 階多目的室、午後 5 時 30 分~7 時 30 分(会費:1000 円、学生無料)
以上

2015年4月27日月曜日

ICCF-19:講演ビデオ Vladimir Vysotskii博士

ICCF-19の講演ビデオです。Vladimir Vysotskii博士の微生物によるセシウム核変換実験の講演なので後でじっくり見ようと思います。

Transmutation of Cs133 Isotope to Ba Nucleus During Growth of Methanogenic Bacteria of Organic Sea Sludge


以上

ICCF-19資料:Coolescence LLC社

ICCF-19の資料です。Coolescence LLC社の名前はしばらく気にしてなかったのですが、活動を続けていたのですね。
Role of dopants in deuterium loading during electrochemical experiment
O. Dmitriyeva , D.Knies, S.Hamm, R.Cantwell, M.McConnell
Coolescence LLC
Boulder, Colorado, U.S.A.

Electrochemical Analysis of Palladium Cathodes towards the Advancement of Reproducibly High H/Pd Loading Ratios
S. Hamm, O. Dmitriyeva, D. Knies, R. Cantwell, M. McConnell
Coolescence LLC
http://lenr-canr.org/acrobat/HammSelectroche.pdf

A Method to Control Palladium Crystallographic Texture and Surface Morphology
D. Knies, R. Cantwell, O. Dmitriyeva, S. Hamm, and M. McConnell
Coolescence LLC
http://lenr-canr.org/acrobat/KniesDamethodtoc.pdf

以上

ICCF-19資料:高橋亮人博士の論文

ICCF-19の資料です。高橋亮人博士の理論論文です。中身は理解できそうにありませんが・・・
Fundamental of Rate Theory for CMNS
Akito Takahashi
Technova Inc. and Osaka University, Osaka, Japan
http://vixra.org/pdf/1504.0191v1.pdf

以上

ICCF-19のポスターセッションの資料集

MFMPの人たちがICCF-19のポスターセッションの資料を写真に撮ったイメージファイル群が以下にあります。

https://drive.google.com/folderview?id=0Bz7lTfqkED9Wfk8xRW81dExxdUZ4VjZqWGFTSW01Nl9WanAxNVBpdnBHbTJLdnFGMUE1bDg&usp=sharing


ICCF-19 Posters - Raw imagesMany of the poster sessions were prints of presentations intended for slide presentations...
Posted by Martin Fleischmann Memorial Project on 2015年4月25日


また、Peter Gluckさんが、これらの資料をPDFにまとめたものを公開してくれました。 67.5MBのPDFファイルなのでダウンロードには時間がかかります。

https://www.dropbox.com/s/kwm1dsfn6cd6ewv/Posters%20from%20ICCF-19.pdf?dl=0
(The file is quite large: 67.5 MB).

以上

2015年4月22日水曜日

E-Catの1MWプラントはCOP:20~80の驚異的性能で実運用中

前々からロッシ氏はE-Catの1MWプラントが非常にうまく運用できている事をリークしていたのですが、Sifferkoll社のブログに第三者が訪問した時に得たという情報が載りました。


驚くべきことに、COP(エネルギーの入力と出力の比)は、20から80に達するとのこと。幅があるのは、セルフサステインモード(入力なしに熱発生が続くモード)の持続度に依存するからのようです。この顧客は、大いに電気料金を節約できているそうです。

まさしく、「画期的」なニュースです。

以上

ICCF-19でのParkhomov博士のポスターセッションの模様

ICCF-19でのParkhomov博士のポスターセッションの模様を撮った写真とビデオをMFMPが投稿してくれました。感謝します!

MFMP stills and HD video of Dr. Alexander Parkhomov's ICCF19 'Poster Session'All the video material we have of this...
Posted by Martin Fleischmann Memorial Project on 2015年4月21日


この時、Parkhomov博士の常温核融合炉の実験で使われた燃料の元素分析結果の資料が紙で示されたようです(ICCF-19の直前に分析を依頼したというニュースがあったので、とてもホットな情報だったと思われます)。

使用の前と後で結構元素構成に変化が出ているようです。複数の機関へ分析を依頼されているようなので、結果が出揃ったところで公開してくれるのではないかと期待しています。

以上

2015年4月20日月曜日

Parkhomov博士がLevi博士に招かれロッシ氏と初の顔合わせ(Skypeで)

Parkhomov博士が最近の実験結果をまとめた論文が公開されました。
https://yadi.sk/d/_agVKcYdg5GdH


この公開をParkhomov博士自身が告知したページには興味深い事が書いてあります。以下は元のロシア語をGoogle翻訳で英語に翻訳したものです。


勝手な和訳を付けてみます。
Conference ICCF -19 was quite successful. 470 delegates, 98 reports. This record performance. Characterized by optimism, a premonition of great achievements. The conference was held in the most prestigious indoor Padua Palazzo della Ragione, in the grand hall with 800 years of history, with frescoes by Giotto and Miret.
ICCF-19は大成功だった。470名の参加者と98のレポートが出た。これが成果を物語っている。楽観的に見れば、大きな進捗の予兆を感じる。会議は有名な Padua Palazzo della Ragioneの中で行われた。800年の歴史のあるグランドホールで、ジョットとミレーのフレスコ画に囲まれながら。
I attended the University of Bologna at the invitation of Giuseppe Levi, one of the experts who observed the operation of the reactor Rossi in Lugano. He showed his experimental setup and organize communication on Skype with the University of Uppsala (Sweden) with other experts in Lugano Peterson and Bo. They showed their devices to be launched in mid-May. Then our Skype - conference joined Rossi. The first time was able to talk with this extraordinary man. He plans to visit Russia. 
私は、Giuseppe Levi博士の招きでボローニャ大学を訪れた。Levi博士はLuganoでロッシ炉をテストしたエキスパートの一人だ。彼は彼の実験系を見せてくれ、スウェーデンのUppsala大学のエキスパートであるPeterson氏とBo氏とのSkype会議をセットアップしてくれた。彼らは5月中旬に立ち上げようとしている彼らの装置を見せてくれた。それから、Skype会議にロッシ氏が参加した。これが、この偉大な人物との初顔合わせだった。彼はロシアを訪れる計画を立てている。
とうとう、Luganoレポートを書いたエキスパート達とロッシ氏とParkhomov博士が繋がりました。素晴らしい展開だと思います。世界の英知が連携して更に進化が加速すると良いですね。

以上

トム・ダーデン氏のインタビュー記事がInfinite Energy誌に掲載される

常温核融合分野の投資家として一躍有名になったトム・ダーデン氏のインタビューがInfinite Energy誌に載りました。インタビュアはMarianne Macy氏です。

実はまだちょっとだけしか読んでませんが、面白そうです。とりあえず忘れないために書いておきます。



以上

2015年4月19日日曜日

Celani博士のConstantanを使った常温核融合実験の進展(ポスターセッション資料)

ClaudioさんのブログにICCF-19の写真がたくさん投稿されていました。一番上の写真は、おそらく会場の運営を行っていた女性達が写っているのだと思います。ICCFにこんな美女群の写真は関係ないだろうと思っていたので、関係ないページだと誤解して見逃すところでした(笑)。
これ以外にも岩村康弘博士達が写っている写真が多数掲載されています。


で、このページに一番下の方に、Celani博士のポスターセッションの資料が掲載されています。
Observation of macroscopic current and thermal anomalies, at HT, by hetero-structures on thin and long Constantan wires under H2 gas
Francesco Celani, G.Vassallo, E. Purchi, F. Santandrea, A. Nuvoli, M. Nakamura, P. Cirilli, A. Spallone, B. Ortenzi, S. Pella, P. Boccanera
Constantanというワイヤーを使った実験をずっと続けておられたようで、改良実験の結果が載っています。面白そうなのは、微小な電流を検出したという話の所です。過剰熱だけではなく、電気エネルギーが直接得られるのでしょうか?


以上

2015年4月18日土曜日

Vladimir Vysotskii博士のメタン菌を使ったセシウムの核変換実験

ICCF-19では、微生物を使った核変換の研究(いわゆるBiological Transmutation)で有名なVladimir Vysotskii博士の発表もありました。以下の投稿に概要が記されていました。


この投稿を勝手に和訳してみました。たいへん興味深い実験結果です。題名にもCs-133(安定同位体)とあったので、たぶん実験は放射性ではないCs-133を対象に行われたのだと思います。文中、Cs-133とCs-137を核廃棄物と言ってますが、このCs-133はCs-134の間違いではないかと思います。
ICCF19 - Vladimir Vysotskii - Biological remediation of radioactive cesium
Vladimir Vysotskii presented his work in transmutation of Cesium 133 by anaerobic sea bacteria.
Vladimir Vysotskii博士は、海に棲む嫌気性バクテリアによるCs-133の核変換に関する成果を発表した。
This is so fantastic that it deserve an independent post.
He explained first that Cesium, 133 and 137 were the most dangerous nuclear waste in fission, because of their biological characteristics.
これはたいへん素晴らしいので、独立した記事にする価値がある。彼は最初にCs-133とCs-137が核分裂で生成される最も危険な核廃棄物であると説明した。この元素が生物に悪影響を与えるからだ。
Previously he observed some transmutations of cesium to batium , at rate allowing reduction by half in 200 to 500days.
the problem is that to decontaminate place like Fukushima you needed bacterai living in seawater.
彼は以前にもセシウムからバリウムへの核変換を観測しており、半減期が200日から500日になるとしていた。 問題なのは、福島のような場所を除染するためには海水に棲むバクテリアが必要になることだ。(訳注:おそらく浜辺や海の放射能汚染を想定しての発言ではないかと思います・・・チェルノブイリは内陸に位置しているので、海が近くになかったため、海の除染は課題にならなかったのだと想像します)
He decided to use anaerobic methanogenic bacteria form the sea sludge.
His experiments was designe with 3 cntrol experiments, without either the bacteria, the cesium, or the nutrient.
 彼は海泥から採取した嫌気性のメタン菌を使うことにした。彼の実験では3つの対照系が組まれている: バクテリア無し、セシウム無し、栄養物無し。
the result was amasing, and he observed 50% reduction of cesium in 8 days.
I thought about possible contaminantion by bottle, but we shoudl not forget there are 3 control experiment that should be impacted by any artifact you imagine...
fascinating !
Another example of the quality of russian science, in LENR especially.
結果は驚くべきものだ。彼の観察では8日間でセシウムが50%減少した。私は入れ物のコンタミネーション(汚染)の可能性を疑っているが、3つの対照実験が行われたことも忘れてはいけない。実に面白い!
これは特にLENR領域でのロシアの科学の質の高さを示す例だろう。

以上


ICCF-19でのトム・ダーデン氏のスピーチ

ICCF-19のオープニングセッションでのトム・ダーデン氏のスピーチの動画です。今回、トム・ダーデン氏は、E-Catの技術的な内容については特に何も語りませんでしたが、常温核融合に投資するに至った背景や常温核融合への想いを語っていて、たいへん素晴らしいスピーチでした。


この発表のテキスト起こしは、E-Cat Worldの以下のエントリに載っています。最初に動画を速報してくれたDr.Bobや、長編動画を掲載してくれたMFMPの方々、また、素早くテキストに起こしてくれた方々に深く感謝します。お陰で、日本に居ながらにして発表内容をすぐに知ることができました。ありがとうございました。

http://www.e-catworld.com/2015/04/14/tom-dardens-speech-on-lenr-at-iccf19/


以上

ICCF-19ではエコシステムが強調された

ICCF-19では、常温核融合をめぐるエコシステムの重要性があちこちで強調されたようです。
Mats LewanさんのTweetによるとSteven Katinsky氏が常温核融合の産業向け協働の場であるLenria.orgを立ち上げたとのこと。INFOの所に書いてあるのが、ほとんど個人のブログというのがインターネット時代を良く表してますね。

以上

祝・ICCF-20は東北大学で開催されます

ICCF-19の盛り沢山な内容を見る前に気の早い話ですが、次回のICCF-19は2016年10月に日本の東北大学(仙台)で開催されることに決まったようです。更に、それに続く形で「Post Conference」が中国で開催されるという事です。
常温核融合の認知が格段に高まったこの時期に日本で開催されるのはたいへん素晴らしいですね。また1週間くらいの開催になるでしょうから、休暇の準備をお忘れなく(笑)。

この件を報じたDaniele Passeriniさんのブログ記事の英訳は以下の通りです(Google翻訳による)。



以上

2015年4月17日金曜日

ICCF-19の岩村康弘博士のプレゼンテーション(月曜日)

ICCF-19での岩村康弘博士のプレゼンテーションの様子が以下のブログに投稿されていました。


資料は以下にありました。2015年4月に東北大学に設立された常温核融合研究部門の活動計画が紹介されています。




以上

ICCF-19の会場からClean Planet社の撮影した写真

Facebookのクリーンプラネット社がICCF-19の会場での写真を幾つか投稿してくれました。たいへん伝統ある会場での発表だったようです。

We are in Podova in Italy for ICCF-19 (The 19th International Conference on Condensed Matter Nuclear Science) this week....

Posted by Clean Planet Inc. on 2015年4月16日

Our team was interviewed by a Italian radio station after our presentations.

Posted by Clean Planet Inc. on 2015年4月16日

Photo Gallery from ICCF-19th in Padova, Italy.

Posted by Clean Planet Inc. on 2015年4月17日

以上


2015年4月12日日曜日

インドのビジネス誌が常温核融合への取り組みを論じる会議が持たれたと報道

2015年4月9日にインドのビジネス誌と思われるThe Hindu Business Lineに常温核融合に関する記事が載りました。


この記事によると、4月7日に約30名の科学者がバンガロールに集まって常温核融合への取り組みをどう進めるべきか議論したそうです。この会議のチェアマンが原子力研究部門の元議長であり、新・再生エネルギー省で開催されたとのことで、インド政府が常温核融合研究の必要性を感じ始めている証左かもしれません。
About thirty scientists from all over India met in Bengaluru on Tuesday to discuss ‘the way forward’ in an emerging cheap and clean source of energy, called ‘low energy nuclear reactions’, or simply ‘cold fusion’. The meeting was chaired by Dr Anil Kakodkar, former Chairman of the Department of Atomic Energy. 
The meeting was held at the instance of the Ministry of New and Renewable Energy, said Dr Baldev Raj, Director, National Institute of Advanced Studies, who co-chaired the meeting. 
Dr Raj did not give details of the meeting—he feels it is up to the Ministry to do so—but he said that the basic message that came out of the meeting was that there was a need to study ‘low energy nuclear reactions’ more. 
また、最後の方に気になる一文がありました。ICCF-19が多くの投資家の注目を集めているという中で、ビル・ゲイツ氏の名前が挙がっているのです。ICCF-19にビル・ゲイツ氏の関係者が来るという情報はどこからも出ていないので、どの程度裏付けがあるかは不明です。来てくれると盛り上がるでしょうが、さてどうなるか楽しみです。
Next week, the 19th International Conference on Cold Fusion (ICCF-19) will take place in Italy. The ICCFs have been generally dismissed as ‘meeting of believers’ but this time around many potential investors, notably the Bill Gates Foundation is taking part in it.

以上

トム・ダーデン氏がICCF-19のオープニングセッションに登壇

4月13日(月)から始まるICCF-19のオープニングセッションに、チェロキー投資組合のトム・ダーデン氏が参加することが分かりました。チェロキー投資組合は、ロッシ氏のE-Cat技術を獲得したインダストリアル・ヒート社を設立しており、実質的にE-Catビジネスのオーナーだと思われます。

トム・ダーデン氏については、これまで、中国天津の常温核融合研究センター設立に関わっている等、外から観測された情報が流れることはありましたが、本人は何も対外的に発表してきませんでした。ICCF-19で何を話すのか非常に興味を惹かれます。


ロッシ氏のブログでは、E-Cat WorldのFrank Aclandさんと以下のようなやりとりが行われており、少なくともロッシ氏もトム・ダーデン氏がICCF-19に登壇することは認識していると分かります。
Frank Acland
April 11th, 2015 at 12:06 PM
Dear Andrea,
I was pleased to learn that Tom Darden will be speaking at the ICCF conference in Padova next week. Is he well briefed on the performance level of the E-Cat plant? — I am sure he will be getting plenty of questions.
Kind regards,
Frank Acland
--------------------------------------
Andrea Rossi
April 11th, 2015 at 2:02 PM
Frank Acland:
of course he is briefed.
Warm Regards
A.R.
Frankさんの質問の意図は、既に実働しているとロッシ氏が言っているE-Cat(低温版)の1MWプラントの稼働状況(性能)をトム・ダーデン氏が発表するのか、という確認でしょう。しかし、ロッシ氏は明言せず、ぼかして回答しているように思えます。

この1MWプラントでは、何らかの技術的な工夫により、入力エネルギー無しに出力エネルギーが発生し続けるセルフサステインモード(SSM)の期間が長くなっていると再三ロッシ氏が発言しています(E-Cat Worldの記事に継続的なフォローがあります)。4月9日にはロッシ氏から殆どSSMになったとの連絡があったそうです(「The Lady E-Cat 1MW is stable and the COP is very high, because we are mostly in ssm mode. I am writing from inside the computers container.」)。

但し、この件に関しては一切のデータが公開されておらず、ロッシ氏が言ってるだけの状態にあります。もし、具体的なデータが公開されるならば、影響は非常に大きいと思います。期待して待ちましょう。

以上

2015年4月5日日曜日

Clean Energy Research LabとImPACTの関係

東北大学電子光理学研究センターとクリーンプラネット社が凝縮系核反応研究部門設立」という記事で、Clean Energy Research Labの設立をお伝えしました。その時に出たクリーンプラネット社のプレスリリースの中に、電子光理学研究センターの核廃棄物除染研究プロジェクトに日本政府がファンディングという形で支援を行うだろうとの記載がありました。このプロジェクトは、内閣府の進める革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)のテーマの一つである「Reduction and Resource Recycle of High Level Radioactive Wastes with Nuclear Transformation」だと述べられています。

http://cleanplanet.co.jp/news/en/15.03.30%20Clean%20Planet%20-%20Press%20release.pdf
Additionally, the government of Japan will provide support in the form of funding for the nuclear waste decontamination research project at the Electron Photon Science of Tohoku University. The project named “Reduction and Resource Recycle of High Level Radioactive Wastes with Nuclear Transformation”, will be funded and supported by the ImPACT Program, which is a Japanese national research program.
革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)については以下にまとめられており、一覧にこのプロジェクトが載っています(日本語名は「核変換による高レベル放射性廃棄物の大幅な低減・資源化」)。
http://www8.cao.go.jp/cstp/sentan/about-kakushin.html

このプロジェクトのプロジェクトマネージャーは、日本原子力学会の会長である藤田玲子博士で、以下にプロジェクトの概略が記載されています。



計画書は以下に登録されています。
日本語: http://www8.cao.go.jp/cstp/sentan/kakushintekikenkyu/siryo/plan08_fujita.pdf
英語: http://www8.cao.go.jp/cstp/sentan/kakushintekikenkyu/siryo/gaiyouen08_fujita.pdf

この中の「克服すべき課題⽬標の達成アプローチ」は以下のように述べています(赤字は引用者による)。

  • LLFPを高レベル廃棄物から回収する有望な技術を分離回収性能や二次廃棄物発生量、経済性を評価して選定し、データをプロジェクト5のプロセス概念検討に提供。(プロジェクト1: 分離回収技術開発)
  • RIビームファクトリー(RIBF)を占有し中性⼦ノックアウト反応や高速中性子核破砕反応等による物理実験を行い、世界初の核反応データを取得。また、得られた核反応データを基に全く新しい核反応制御法の開発に挑戦する。(プロジェクト2: 核反応データ取得及び新核反応制御法)
  • 反応理論・構造理論により実験から得られる核反応データを補うと共に、核変換のための核反応標準モデルを整備する。また核反応データベースを整備し、システム開発のためのシミュレーションを行う。(プロジェクト3: 反応理論モデルとシミュレーション)
  • 合理的なコスト及びエネルギー収支を実現できるLLFP専用核変換システムを検討する。ビーム種・強度・エネルギー・標的性能・FP標的材などを俯瞰し、プロジェクト1,2,3,5と連携を取り要素技術開発を進める。(プロジェクト4: 核変換システム評価と要素技術開発)
  • 高レベル放射性廃液とガラス固化体から半減期の長い核種を取り出し、核変換により半減期の短い核種または安定核種に変換する合理的なプロセス概念を検討する。(プロジェクト5: プロセス概念検討)

そして、「研究開発プログラム全体構成」の「新しい核反応制御法の提案」の中に、課題の例として「凝縮系核融合(Transmutation in condensed matter)」が挙げられています。

ここからは私の想像です。「核変換による高レベル放射性廃棄物の大幅な低減・資源化」プロジェクトでは、放射性廃棄物に中性子を照射することで、放射性物質の崩壊を加速し、結果として放射性物質を低減させる方式を考えているようです。本方式の重要ポイントの一つは、安価でかつ容易に制御できる形で中性子を発生する方式でしょう。

ここで思い浮かぶのが、「水野忠彦博士のグロー放電による新しい常温核融合炉の特許」で述べた、水野博士とクリーンプラネット社の特許です。この特許には、中性子発生を制御できる常温核融合炉の作り方が書いてあります。この炉を中性子発生源として使うならば、もしかすると、非常に実用的な核変換が可能になるかもしれません。今後の展開が非常に楽しみです。

以上

インドのカレントサイエンス誌の常温核融合特集(2015年2月)

少し古い話題なのですが、インドのCurrent Science誌が常温核融合の特集を組みました。常温核融合に含まれる様々な分野を網羅的にカバーする34編の論文が収められています。各分野の研究成果と状況を概観するには最適な論文集になっていると思います。すべての論文がPDFで公開されており、無償で読めます。
Low Energy Nuclear Reactions (Guest Editors: M. Srinivasan and A. Meulenberg) Vol. 108 (pp. 0491-0659), 2015

ちなみに、序文の中には以下のようにICCFとロシアのRCCNTと並んで日本の常温核融合研究会(JCFRS)が紹介されています。(赤字は引用者による)

To date, a series of 18 international ICCF (International Conference on Cold Fusion) conferences have been held whose proceedings have been published. In Japan, the Japanese Cold Fusion Research Society (http://www.jcfrs.org) organizes annual conferences whose proceedings are uploaded in their website. Russia has been organizing annual conferences under the title ‘Russian Conference on Cold Nuclear Transmutation (RCCNT)’ for the past 20 years.

また、北村晃博士が日本の研究状況を簡潔にまとめた論文も載っており、日本にある研究グループが表1に分類されています。

Status of cold fusion research in Japan
February 2015, 108 (04) 
Kitamura, Akira


以上