2011年12月24日土曜日

生体内核変換を示唆する田崎和江博士のセシウム除染実験

田崎和江博士の微生物による放射性セシウム除染実験を応援します」で触れた件ですが、「日経エコロジーリポート」に以下のようなレポートが載っている事に気が付きました。


http://eco.nikkeibp.co.jp/article/report/20111209/110252/
2011年12月15日
動き出す本格除染【3】汚染地で進む実証実験 従来技術の限界に挑戦



このレポートは田崎和江博士の実施した除染実験の成果を述べているのですが、糸状菌による放射性セシウムからバリウムへの「生体内核変換」を示唆する極めて重大な内容となっています。
以下、中核部分を引用します(赤字は引用者による)。
ミニ水田に入れたのは、ゼオライトやケイソウ土など微生物が好みそうな素材だ。その結果、能登で採取したケイソウ土を入れたミニ水田が100cpm(シーピーエム:1分間の放射線を示す単位)近くに下がった。1カ月前(200~300cpm)に比べ半減している。
この土壌を顕微鏡で調べたところ、糸状菌と呼ぶ細長い微生物が繁殖し、生体膜の内側に多量の鉱物粒子が付着していた。同じ現象は原発事故後のチェルノブイリ周辺でも確認された報告がある。
微生物が代謝によって鉱物で覆われていく現象を生体鉱物化作用という。田崎教授はこの作用でできた鉱物塊を「ミクロの石棺」と呼ぶ。「放射性セシウムがミクロの石棺に取り込まれることで、何らかの作用で放射線量が下がったのではないか」と考えている。
この水田の土壌に含む微量元素を分析したところ、通常の値を超える1kg当たり447mgの大量のバリウムを検出した。放射性セシウムが放射線を出し続けると最終的にバリウムになる。実験結果からは、微生物の代謝が放射性セシウムからバリウムへの転換を早めたとも推論できる。こうした見方を「生体内核変換」と呼び、少数ながら報告例がある。だが、現在の物理学ではあり得ないため、議論の対象にさえなっていない。
田崎教授は、「メカニズムは不明だが、ケイソウ土に線量を下げる効果があることは分かった。今後の除染に応用できる」と話す。
放射線量が下がっただけであれば、「ミクロの石棺」に何らかの放射線遮蔽機能があるとも思えるのですが、赤字部分にある「大量のバリウム」の検出は元素変換が起こったとしか考えられない非常に重大な測定結果だと思います。
これは、「田崎和江博士の微生物による放射性セシウム除染実験を応援します」で引用したVladimir I. Vysotskii博士(ヴィソツキー博士)の生体内核変換の論文「Low-energy Nuclear Reactions and Transmutation of Stable and Radioactive Isotopes in Growing Biological Systems」にある観察結果と共通のものです。ヴィソツキー博士の研究の独立した追試になっているとしたら、生体内核変換の強力な証拠として大きな意味を持つでしょう。

記事の冒頭に以下のように記述されているのを見ると、この実験結果が従来の物理学の常識に合わない事は十分に意識されています。単なる「トンデモ」ではない事は明白でしょう。
放射性物質はどんな環境下でも半減期どおりに規則正しく放射線量が減っていく。セシウム137であれば、30年で半分に減る。
除染といっても、放射性物質を流して他の場所に移すか、集めて隔離するしかない。どう処理しても放射能はなくならず、放射性核種ごとの半減期に従って減衰するのを待つしかない。
こんな物理学の常識を覆すような実証結果が公表された。
 
この実験の示す「除染」の価値は、上の一文に書かれている通りです。他の「除染」は実は除染ではなく、放射性物質を集めて隔離する事を除染と言っているだけです。しかし、今回の糸状菌による「除染」は、本当に放射性物質(放射性セシウム)を無くしていると思われます。汚染された大地を蘇らせるためには最高の方法かもしれません。どこまで実用になるかは未知数ですが、この研究には素晴らしい価値があります。国家的な投資をすべき研究案件だと思います。応援しましょう。

以上

2 件のコメント:

  1. 元の土壌及び能登の持ち込んだ珪藻土のバリウム濃度との比較もされているのでしょうか?論文が出るのでしたら読みたいです

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    1. コメントありがとうございます。
      比較されていると期待していますが、残念ながらこれ以上の情報は公開されていません。田崎先生はこの件で各所から非難を受けたため、この研究を中断されてしまったようです。世界にとって大きな損失であると大変残念に思っています。

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