2011年5月29日日曜日

イタリアの週刊誌OggiにSergio Focardi博士のインタビュー記事

イタリアのブログによると、ロッシ氏の共同研究者であるSergio Focardi博士のインタビュー記事がイタリアの主要週刊誌である「Oggi」に掲載されたとのこと。残念ながらイタリア語です。こういう一般誌に載るようになってくると認知が広がるのではないかと期待しますね。


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恒例のMIT常温核融合コロキウムは6月開催

6月11日~12日に、MIT(マサチューセッツ工科大学)で常温核融合のコロキウムが開かれます。
MITのPeter Hagelstein博士は先日ロッシ氏にE-Catの借用を申し出て断られたと報道されていました。昔からの常温核融合研究者で良く名前を目にします。

Title: 2011 Colloquium on Lattice-assisted Nuclear Reactions (LANR/CF) at MIT
Subject: Science and Technology of LANR and Deuterated Metals
Where: Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA
When: Saturday and Sunday, June 11 and 12, 2011

http://world.std.com/~mica/2011colloq.html



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岩村康弘博士のICCF-16報告書~韓国は国家プロジェクトを始動か

常温核融合は本当だった! その14」で知りました。三菱重工の岩村博士が執筆された第16回凝集系核科学国際会議(ICCF-16)の報告書がダウンロードできるようになっています。日本語のレポートは数少ないのでとても助かります。ただ、このレポートは、Japan CF-research Societyの公式ページからはリンクされていないようです(PDFファイルの置かれている場所はJCFRSの公式ページの中ですが)。「常温核融合は本当だった! その14」の内容から岩村博士の執筆だと分かりましたが、レポートの中には著者名が書かれていません。

http://www.jcfrs.org/file/iccf16-report.pdf


以下、面白かった部分を引用させていただきます。
ロッシ氏の装置によって俄然ニッケル・水素系が注目されていますが、Dr. Celaniはニッケル・水素を使った電界方式での発熱を検証しているようです。
Dr. Celaniたちのグループは最近Niナノコートワイヤーでの過剰熱と元素変換実験を行っている。彼らによると、900℃くらいの高温でNiワイヤーに水素雰囲気中で電界をかけると最大で1800W/gの発熱が観測されたとのことである。従来行っていた、Pd-D系では500℃で最大400W/g程度の発熱であったため、実用上はNi-Hの方が有利ではないかとの結論である。ただし、Ni系は水素を吸蔵させるのがPdに比べ難しいとのことで、この点が注意すべき点である。また、Pdの同位体比に変化が生じており、元素組成にも変化があったとのこと。
また、岩村博士ご自身は元素変換現象を追究されているのですが、この実験のトヨタ中央研究所での追試結果についての報告があったようです。
IwamuraはCRESTの結果、計算科学の結果、W変換試験の結果を中心に発表を行った。また、トヨタ中央研究所が当社の再現実験に成功しており、その結果についてもレポートした。
Csを添加したPd多層膜に重水素ガスを透過させると元素変換が起きる新元素変換現象は、これまでにCsからPr、SrからMo、BaからSmへの変換などが観測されており、トヨタ中研などが再現実験に成功している
韓国が熱心に常温核融合研究に取り組み始めたことは、このレポートの中でも触れられています。韓国は常温核融合の国家プロジェクトを起こすようです。日本も早く国家予算を組んで、集中的な研究開発投資を行って欲しいと願っています。
今回特徴的であったのは、韓国から6名の参加があったことである。KAIST(Korea Advanced Institute of Science and Technology)の朴教授(Prof. Sunwon Park)を中心としたメンバーが会議に参加し、熱心に質問など情報収集を行っていた。韓国は凝集系核反応分野の国家プロジェクトを実施する予定だそうで、今後の展開を注視していきたい。
これまで常に過剰熱関連の先進的結果をだしていたイスラエルのEnergetics社の関係者はアメリカミズーリ州に移ったとのことで今回は発表は行っていなかった。EnergeticsトップのDr. Lesinの話ではミズーリ大学近郊で現在実験装置の立ち上げを行っているとのことである。前回のローマ、前々回のワシントンに比べるとベンチャービジネスの関係者は少なかったがST Micro Electronics社、フィアット社などは継続して研究を行っているとのことであり、米国のベンチャー関係者は数名参加していた
次回のICCF17は韓国で開催される見込みであり、地理的にも日本から近いことから日本の多くの研究者の参加を期待したいと思う。
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2011年5月23日月曜日

E-Catを報じるイタリアのブログは賑わってます

最初にロッシ氏の実験の模様を詳しく報じてくれたのは、イタリアのブログTwenty-two steps of love(愛の22ステップ)(※)なのですが、面白い記事が掲載されていました。
(※ イタリア語の原題がさっぱり分からないので、Google翻訳から類推して勝手に英訳/和訳したものです。何か背景あっての題名だと思うのですが、イタリア語の素養がないのでさっぱり分かりません)

このブログのアクセス数のグラフです。ボローニャ大学でのロッシ氏の実験レポートが出た1月中旬から跳ね上がっています。2500アクセスを越えている日もあり、結構な数の人たちがE-Catの記事を見に来ている事が分かります。


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E-Catの米国での販売パートナーAmpenergo社設立

ロッシ氏の最初の1MWプラントを販売し、米国以外への商圏を担当するのはギリシャに設立されたデフカリオン社(Defkalion Green Technologies社)です。しかし、米国についてはロッシ氏が重要な契約に成功したと発言した以上の手がかりがありませんでした。それが明らかになりました。
米国にAmpenergo社という新しい会社が設立され、米国市場向けのE-Catの販売を手がけます。E-Cat Worldに、このAmpenergo社に関するまとめが載っています。省略して訳すと以下の通りです。
  • Ampenergo社はE-Catのライセンスと製品を売る。
  • Ampenergo社は契約に基づき(ロッシ氏の)Leonardo社に幾許かのお金を払った。
  • Ampenergo社は新たな投資者を探している。E-Catは単なる技術ではなく、産業を創出することになるからだ。
  • 最初の製品は今年の晩秋か来年の早期に提供されるだろう。これは1MWの熱・電力プラントになるだろう。
  • 当初はE-Cat製品はロッシ氏のLeonardo社で製造される。
  • Ampenergo社は当初は家庭用のヒータは販売しない。



このAmpenergo社との契約内容が明らかになったのは、またもNyTeknikのMats Lewan氏のインタビュー記事が最初ではないかと思います。E-CatのニュースについてはNyTeknikはスクープを連発しています。

インタビュー記事を見ると、Ampenergo社の設立者が米国エネルギー省(DOE)と長年にわたってビジネスをしてきた人物である事が分かります。以下のようにレポートされているので、もはやE-Catが米国政府の中で認知を得ていくのは間違いないように思えます。
  • Ampenergo社の創設者は4氏:Karl Norwood, Richard Noceti, Robert Gentile, Craig Cassarino
  • この中の2名は、コンサル会社のLTI(Leonardo Technologies Inc.)を創立しており、10年間にわたって米国の国防とエネルギー関連官庁と数億円の取引をしてきている。近年ではDOEと95億円の取引があった。
  • Robert Gentile氏は1990年代にDOEのAssistant Secretary of Energy for Fossil Energyであった。
  • この中の3名はロッシ氏を1996年から知っている。ロッシ氏はLTI社の共同創設者であり、1990年代に株を売った。


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330台のE-Catの製造は完了、これからはテストとコンテナ組み上げ

仕事が忙しくて、すっかりE-Catのウォッチが疎かになってしまってますが、E-catの方は着々と進展しているようです。
最近のニュースを拾ってみます。

ロッシ氏がご自分のブログで明かした所によると、既に最初の1MW(相当の熱量を発生する)プラント向けの330台のE-Catは製造できたとのこと。これからは、これらのE-Catを一つのコンテナに組み上げる難しい作業に注力するようです。以下はこのニュースを取り上げた、Free Energy Truthの記事です。



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2011年5月5日木曜日

常温核融合現象は複雑系の現象~CFRL News No.75から

常温核融合を分かりやすく解説した一般書籍としては「「常温核融合」を科学する」が挙げられると思います。


この本の著者である小島英夫博士は1999年に私設の「常温核融合研究所(CFRL:Cold Fusion Research Laboratory)」を開設され、多くの論文を発表されています。CFRLのそのホームページがここにあって、論文やエッセイなどが公開されています。


2009年の末ぐらいから、ずっと更新が止まっていたので残念に思っていたのですが、今年になって以下のようなコンテンツが追加されている事に気が付きました。
CFRL News 75 (2011.4.20) には、常温核融合現象を「複雑系」の現象と理解すべきであるという小島博士の年来の主張が述べられています。素人ながら重要な指摘だと思うので、該当部分を以下に引用させていただきます。興味のある方は、同じ小島博士の「科学する心と常温核融合現象」も合わせて読まれることをお勧めします。
1.3 常温核融合現象
科学の研究においては科学的思考が用いられていること、したがって、科学界では事実に基づいて論理を進め、結論を実験によって確かめることが常識になっていると考えるのが普通でしょう。しかし、「地震予知」に関してゲラー氏が論じているように、この社会の中で行われる科学活動では、科学的思考が尊重されるとは限らないのが現実のようです。
常温核融合現象が1989年に発見されてから22年になりますが、この研究領域にはいまだに科学的な基盤ができていないというのが実情ではないでしょうか。それが原因で、常温核融合現象は多くの科学者からまともな研究領域と思われていないようです。学界の名称一つ取ってみても、「帯に短かし襷に流し」ではないですが、最適な言葉を見つけられないでいます。ICCF14のProceedingsでEditorsのD.J. NagelとM.E. Melichが指摘しているように、一時多く用いられたLow Energy Nuclear Reactionsも曖昧さがあります。実際、核物理学では同じ言葉が10 MeV以下のエネルギー領域での核反応に用いられています。
“Cold Fusion Phenomenon、” あるいは日本語で「常温核融合現象」と呼ぼうという私の提言は、このような状況を踏まえて、最初に用いられたCold Fusionを生かして新しい研究領域をアッピールしたいという思いを込めた用語です。そして、従来の物理学のどの分野からも外れたこの研究領域には、固体あるいは凝集体物理学と核物理学の境界領域の特徴を併せ持った多様な事象が起こっています。
常温核融合現象が起こる系が複雑な構造と特徴を持っていることは周知のことです。特徴としては、系が開いた非定常状態にある、水素同位体と金属あるいは炭素からなる固体であることが挙げられます。複雑な構造は、水素同位体の固体内濃度が高く、分布が不均一であることに特徴があります。
現象の含む事象は、核反応が起こっていると考えないと説明のつかない生成物を生ずることと、生成エネルギーの量が原子・分子反応では説明のできない程に多量であることでしょう。
反応性生物の量と質に関して、いくつかの法則性が見つかっていますが*、中でも「べき乗法則」は常温核融合現象が複雑性現象であることを示す、最も重要なものです**。McKubre et al.と J. Dash et al. の過剰熱のデータをKozimaが解析した結果および157種の過剰熱のデータをH. Lietzが解析した結果によると、いずれも測定頻度の過剰熱量に対する依存性は逆べき法則で表され、それぞれの場合の指数は、1.0, 2.0 および1.3になります。指数の数値そのものにはバラツキがありますが、依存性が逆べき法則に従うことは常温核融合現象が複雑性現象であることを明瞭に示しています。
この結果は、常温核融合現象が定量的な再現性ではなく、定性的な再現性で特徴付けられることを示しています。ですから、定量的な再現性を追い求めることは無益な労力を費やすことであり、また定量的な再現性がないことを理由に常温核融合現象を科学の研究対象から除外しようとするなどは非科学的な判断と言わざるをえないのです。
考えてみれば、放射性核226Raの崩壊でも、半減期1.60×103 yというのは、N個の核の中でどの核が崩壊するかは分からないけれどもこの時間内に半数の核が崩壊するという統計的法則でしかない訳です。このことから、原子核の崩壊は科学の対象から外すべきであるなどと言う核物理学者が出てくることは考えられませんから、常温核融合現象に関する多くの核や素粒子の研究者の態度は非科学的としか言いようがないのです。

また、論文リストの方には、以下のような論文が新規に掲載されているようです。
  • Reports of CFRL (Cold Fusion Research Laboratory) 11-6, 1-13 (April, 2011)
    Cold Fusion Phenomenon in Open, Nonequilibrium, Multi-component Systems
    Hideo Kozima
  • Reports of CFRL (Cold Fusion Research Laboratory), 11-5, pp. 1-14 (January, 2008)
    Precision Measurement of Excess Energy in Electrolytic System Pd/D/H2SO4 and Inverse-Power Distribution of Energy Pulses vs. Excess Energy+
    H. Kozima, W.-S. Zhang, and J. Dash
    This paper is an extended version of the paper with the same title published in Proc. ICCF13 (June 25 - July 1, 2007, Dagomys, Sochi, Russia) pp. 348-358 (2008).
  • Reports of CFRL (Cold Fusion Research Laboratory), 11-4, pp. 1-21 (January, 2008)
    Physics of the Cold Fusion Phenomenon
    Hideo Kozima
    This paper is an extended version of the paper with the same title published in Proc. ICCF13 (June 25 - July 1, 2007, Dagomys, Sochi, Russia) pp. 690-703 (2008).
  • Neutron Emission in the Cold Fusion Phenomenon
    Hideo Kozima
    This paper is an extended version of the paper to be published in Proc. JCF11 with the same title.
  • Localization of Nuclear Reactions in the Cold Fusion Phenomenon
    Hideo Kozima
    This paper is an extended version of the paper to be published in Proc. JCF11 with the same title.
  • Brief Explanation of Experimental Data Set on Excess Heat and Nuclear Transmutation in Multiplly Nanocoated Ni Wire
    Hideo Kozima and Francesco Celani
    This paper is an extended version of the paper to be published in Proc. JCF11 with the same title.


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2011年5月4日水曜日

Defkalion Green Technologies社のロゴ

ロッシ氏の常温核融合炉E-Catを米国以外の国々へ販売する予定のデフカリオン・グリーン・テクノロジ社のロゴがホームページに登場しました。小さい事ですがビジネス開始に向けて準備が進んでいる良い兆候ではないかと思います。


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ロッシ氏の常温核融合炉E-Catは既に100台以上稼働中

4月28日に流れた情報によると、ロッシ氏は既に97台のE-Catを世界4ヶ所で動かしているとのことです。こんなに多くのE-Catが動いているとは驚きです。着々と10月の1MWプラント設置に向けて工程が進んでいる印象です。
情報源はロッシ氏のブログ(http://www.journal-of-nuclear-physics.com/)のコメント欄です。ここでは、E-Catに興味を持った人がロッシ氏に質問して、それにロッシ氏が答えるという一問一答のQAが続いています。この回答の中にあった97台の情報に気付いた人が、Vortex-lメーリングリストにそのコメントを引用しつつ投稿してくれました(以下)。


この議論には更に続きがあります。ロッシ氏が作ろうとしている1MWプラント装置の大きさや重量を質問した人に対して、ロッシ氏は以下のような回答をくれました。Shirakawa AKIRA氏がまとめてくれた文に和訳をつけました:
  • Power plant volume: 3m x 2m x 2m = 12m3
    パワープラントの容積:3メートル×2メートル×2メートル=12立方メートル
  • Total weight: 2 metric tons
    全体重量:2トン
  • Module thermal power density: 2 kW/liter
    モジュールのパワー密度(発生熱量): 2 キロワット/リットル
  • Derived plant power density (thermal): 0.0833 kW/liter
    プラントのパワー密度(発生熱量):0.833 キロワット/リットル
  • Derived plant specific power (thermal): 0.5 MW/ton (metric)
    プラントの重量当たり出力(発生熱量):0.5 メガワット/トン

上記の評価は、他の発電装置(またはエネルギー発生装置)と比べた、容積あたりや重量あたりの発生熱量の効率を見るためのものでした。この投稿の後に、他の装置の諸元を投稿してくれた人がいたのですが、それに鋭いツッコミが入りました。E-Catの場合、この容積・重量の中に6カ月分の燃料(水素ガスとニッケル)も含まれているのです。燃料の容積・重量まで考慮すれば、E-Catの優位性は明らかです。化学反応に比べると百万倍のオーダーで高いエネルギーを取り出せる核反応の威力が分かります。

また、続いて別の質問へのロッシ氏の回答から、着々とE-Catが生産されている事が分かりました。これも、Shirakawa AKIRA氏がまとめてくれた文に和訳をつけました:
  • On April 28 there were 97 working E-Cats
    4月28日時点では、97台のE-Catが稼働していた。 
  • On May 01 (today) there are 105 of them
     5月1日時点では、105台のE-Catが稼働している
  • Assembly lines not ready yet; modules are currently made and tested one by one by Andrea Rossi himself - Patent issues have nothing to do with the time needed to bring the first megawatt plant to the market.
    生産のライン化はまだできていない。モジュールは1個1個ロッシ氏自身が作成しテストしている。特許取得問題とは関係なく、最初の1MWプラントの市場投入に向けて作業を進めている。

主要メディアはなかなか取り上げようとしませんが、世界のエネルギー革命に向けて、着々と開発が進んでいる感じがします。
以上